研究科長あいさつ

 国際文化研究科は、人文社会科学の諸分野を包み込む、守備範囲が非常に広い大学院です。
 異なる価値観を結ぶ国際文化研究という表現からも、本研究科が大事にしてきた闊達な学の空気を感じ取ってもらえることでしょう。  
 研究室単位でプロジェクトを動かすことが多い理工系の大学院とは異なり、本研究科では、各自の専門を見定める段階から、 院生に対して多くの自由が与えられます。研究室や指導教員の研究テーマに縛られることはありません。 ただし、自由と表裏一体のもう一つの面として、自分が選び取った学を突き進むだけの覚悟と独立心が求められます。 研究の存在価値をみずから証明しなければならないというのは、試行錯誤することに積極的な意義を見出す、ある意味挑戦的な営みといえるでしょう。  
 本研究科を志望されるみなさんには、ぜひとも、研究者あるいは専門職業人としての自立を果たしてもらいたいと思います。 そうした院生の自立を支えるためのヒューマンな仕組みを充実させているところに、本研究科の大きな特徴があります。 人文社会科学は個人プレーが基本ですが、自分が探求する学の意義を相対化し、人々に理解してもらうためには、共に学び、 議論するプロセスが非常に重要となります。国際文化研究のキーワードであるコミュニケーションは、さまざまな言語による意思疎通であると同時に、 研究者どうし、そして研究者と社会とのコミュニケーションとしての意味をもちます。 そうした理解に立脚し、本研究科では、近接分野の教員・院生が集まる研究グループの取組みを推進すると同時に、 併設の多文化共生研究所・通訳翻訳研究所を通じた地域・社会との結びつきを重視しています。  
 みなさんが愛知県立大学大学院国際文化研究科に進学し、大学院コミュニティの一員として、共に学び、 みずから学を磨いてくれることを切に願っています。

愛知県立大学大学院国際文化研究科長
大塚 英二