国際文化研究科

国際文化研究科

 愛知県立大学大学院には、外国語学部及び日本文化学部を基礎とした国際文化研究科(博士前期課程・博士後期課程)があります。同研究科は国際文化専攻、日本文化専攻の2専攻からなり、国際文化、日本文化それぞれの領域における進んだ専門知識を学ぶとともに高い理解能力を養い、同時に両専攻間の教育・研究交流を通して、自文化認識および異文化理解を深め、グローバルな多文化共生の実現に貢献しうる高度専門職業人や研究者の養成をめざしています。
 さらに、本研究科は博士前期・後期両課程において昼夜開講を実施し、社会人に充実した高等教育の場を提供します。

博士前期過程

 【教育研究体制】
 博士前期課程の2つの専攻は、それぞれ2文化専門、4研究分野から構成され、充実したカリキュラムと豊富なスタッフによって地域社会の国際化に十分応える卓越した教育研究を展開します。

<国際文化研究科博士後期課程・博士前期課程と学部との関連図>


<国際文化研究科博士後期課程・
博士前期課程と学部との関連図>



 【教育課程の特色】
 博士前期課程では、国際文化専攻と日本文化専攻に共通する研究の土台を「言語文化」と「社会文化」の2専門と捉え、両専攻ともそれぞれの専門にさらに2研究分野を置いています。すなわち、国際文化専攻の言語文化専門には「言語研究」と「文学文化研究」、社会文化専門には「国際社会研究」と「地域社会研究」が、そして、日本文化専攻の言語文化専門には「言語研究」と「文学思想研究」、社会文化専門には「歴史文化研究」と「地域文化研究」がそれぞれ置かれています。
 各専攻ごとの教育の特色は以下の通りです。

国際文化専攻
本専攻は、文化の基本的骨格が言語と社会であることに鑑み、言語文化と社会文化の2専門を置いています。そして、その内部を基礎的な学問分野の分類範疇に基づき、言語文化専門を言語研究文学文化研究の2研究分野に、社会文化専門を国際社会研究地域社会研究の2研究分野に分けています。言語研究分野には外国語学部の各国言語関係教員が、文学文化研究分野には各国文学文化関係教員がそれぞれ責任を持ちます。また、国際社会研究分野には、外国語学部の地域研究関係教員のうち国際的な法・政治・経済に関わる教員を、地域社会研究分野には、主に歴史と地域に関わる教員をそれぞれ配置しています。
以上のように、国際文化専攻では、日本を除くほとんどの国・地域を対象とし、諸学問の基礎を重視した教育・研究が行われます。学部のほぼ全教員が大学院の授業を担当するため、各授業科目は複数の教員が様々な角度から研究した内容を反映して、複合的かつ重層的に深化したものになっています。また日本文化専攻との間で共通カリキュラムを組むことで、本研究科の理念たる自文化認識と異文化理解の2本柱を意識した構成になっています。

日本文化専攻
本専攻では日本文化学部国語国文学科の上に言語文化専門を置き、その内部を言語研究文学思想研究の2研究分野に分け、同学部歴史文化学科の上に社会文化専門を置き、その内部を歴史文化研究地域文化研究の2研究分野に分けています。このようなカリキュラム編成によって、日本文化の総合的な教育・研究が可能となりました。これは、本研究科の理念たる多文化共生の骨格である自文化認識と異文化理解の2本柱のうち、自文化認識に独自に責任を持つということを意味します。もちろん、日本文化専攻は国際文化専攻のカリキュラムとの間で共通部分を設けることで、2つの柱を関連づけ、真に国際的な視野のもとで異文化理解を深めます。

【教育課程の考え方】
本大学院の教育課程は、共通基礎科目、専門科目、共通関連科目、研究指導からなっています。
共通基礎科目の「国際文化論」は、1年生の必修科目として、研究科の基礎概念である国際文化・国際社会に対する導入の意味を持ち、学部教育からより専門的な教育に入っていくための橋渡し科目です。さらに選択必修として「多文化共生論」があり、本大学院の理念である多文化共生をめぐる問題を把握することを目的としています。
専門科目は、外国語学部4学科及び日本文化学部2学科における各学科の独自性を活かし、自文化と異文化の融合的認識及び多文化共生社会の実現という教育理念に対して必須要件となる授業科目を設置しています。
国際文化専攻の専門科目は、4つの研究分野、すなわち言語、文学文化、国際社会、地域社会それぞれの分野の特性を活かした授業科目とともに、日本文化専攻と共通した科目を各分野に置くことで、研究の原理的系統性と地域的包括性をともに得られるようにしており、このことは日本文化専攻の専門科目にもあてはまります。ただし、日本文化の場合は、国際社会分野に代わって、地域文化が歴史研究と地域研究に分かれています。
共通関連科目は、国際文化と日本文化の両専攻の合同クラスです。本研究科にとって重要な語学運用能力を高める授業科目として国際コミュニケーション(英語)を設置するほか、英語教育・日本語教育に関わる授業科目を設けています。
「国際文化研究(研究指導)」ないし「日本文化研究(研究指導)」は2年間にわたり4単位必修として設置しています。その具体的指導は、修士論文のテーマ設定、構想、資料収集、論文執筆、研究発表などの指導です。
以上のほかに、研究科会議の承認によって、教育研究上の必要に応じて学部や他研究科の授業履修も認めることにしています。

【養成する人材】
博士前期課程では、自文化に精通しつつ、国際社会に関わる高度な専門的知識を持ち、多文化の共生関係を深く理解して、国際社会及び地域社会の様々な分野において積極的に活躍することのできる国際感覚に優れた知的素養のある人材の養成を目指しています。具体的な進路は、一般企業、官公庁、国際関係機関、文化施設等で活躍する高度専門職業人、国際文化に関心をもち、かつ専修免許状を有する中学・高校教員、研究者などです。
<専攻ごとに養成する人材像>
国際文化専攻
豊かな人間性と外国語のコミュニケーション能力を備え、国際社会及び地域社会における様々な社会的・文化的諸問題を解決する能力のある人材、高度専門職業人、研究者。
日本文化専攻
国際的な視野に立って自文化を深く掘り起こし、日本社会に生起する様々な社会的・文化的諸問題を解決する能力のある人材、高度専門職業人、研究者。

【昼夜開講】
 本研究科は、社会人特別A・B(夜間コース)の院生のために、夜間の授業時間帯に授業を行い、夜間受講のみによって修了可能なカリキュラムを提供します。

【取得できる免許と資格】
国語専修免許、英語専修免許、社会専修免許、地歴専修免許

国際文化専攻博士後期課程は、前期課程の国際性と学際性の特色をさらに深めて、グローバル化とローカルな動きが同時進行する世界の趨勢に対応しながら、既存の学問には見られない視点で研究を進めます。
日本文化専攻博士後期課程は、前期課程の総合性と学際性の特色をさらに深めて、日本社会を閉鎖的な島国として理解する傾向に陥ることなく、列島・文化について多面的で多様な理解を深め、既存の学問には見られない視点で研究を進めます。

【教育課程の編成】
博士後期課程は、研究指導科目(必修)として、国際文化専攻に「国際文化特別研究(研究指導)」、日本文化専攻に「日本文化特別研究(研究指導)」を置き、院生の持つ個別の課題に即して学位論文を作成するための指導を行います。同時に、専攻ごとに特殊講義科目を設定しています。

国際文化専攻
特殊講義科目(選択)として下記5つの授業科目群が置かれ、その中から2科目群以上を履修し、学位論文作成の基盤となる各学問分野の方法論とグローバルな視点を学びます。
a 研究指導科目(必修):国際文化特別研究(研究指導)
b 特殊講義科目(選択):外国語学研究科目群
           外国文学研究科目群
           国際関係・国際社会研究科目群
           国際歴史社会研究科目群
           比較地域研究科目群

日本文化専攻
特殊講義科目(選択)として下記4つの授業科目群が置かれ、その中から3科目以上を履修し、学位論文作成の基盤となる各学問分野の方法論と日本研究としての総合的視野を学びます。
a 研究指導科目(必修):日本文化特別研究(研究指導)
b 特殊講義科目(選択):日本語学研究科目群
           日本文学研究科目群
           日本歴史研究科目群
           日本地域研究科目群

本課程の修了要件は、3年以上在学し所定の単位を修得のうえ、博士論文の審査および所定の試験に合格することです。国際文化専攻において博士論文の審査および所定の試験に合格した者には「博士(国際文化)」の学位を、日本文化専攻において博士論文の審査および所定の試験に合格した者には「博士(日本文化)」の学位を授与します。

【養成する人材】
後期課程では、現代社会と国際社会に対してグローバルな視野を備え、しかも個々の文化のローカルな特徴にも十分な理解を併せ持った人材、大学・研究所等の教育研究機関で活躍することができる教職員・研究者、官公庁・企業・報道機関等において高度な専門分野を担って活躍することができる専門的職業人を養成します。

<専攻ごとに養成する人材像>
国際文化専攻
前期課程で培った国際社会に対する専門的知識と問題解決能力をより高度な次元で発揮できる、専門的な教育者・研究者ないしは官公庁・企業などでの指導的組織者として国際社会の第一線で活躍できる人材。
日本文化専攻
前期課程で培った日本社会に対する専門的知識と問題解決能力をより高度な次元で発揮できる、専門的な教育者・研究者ないしは官公庁・企業などでの指導的組織者として社会の第一線で活躍できる人材。